ヘイユウ

破壊の衝動が自分の意思だけだと治らないから、薬を飲む。自分の体が一気にばーんって爆発して、散り散りになったらすごく気持ち良さそうだ。そしたら、彼氏に対して呪詛のような嫌味しか思い浮かばなくなってしまった脳みそとか、食欲なんかカケラもないのに何か食べようとする馬鹿な胃袋とか、煩わしいものを一気に排除できるのになーと思いながら、自分の頭を殴ったり、髪の毛を引っ張ったりして欲求を抑えようとするんだけど、全くおさまらない。

今日は彼氏と夜に回転寿司に行く予定だったのに、仕事の都合でドタキャンされてしまった。そういうことがあるとLINEで、しかも連投で暴言を吐く癖が直らない。悪口ばっかり語彙が増えて、読んだら吐き気がするような嫌味ばかり書かなくなって、私の性格が本当は最悪なことを毎日自覚する。どんなひどいことを言ってやろうか、嫌われたくて仕方なくて、頭をフル回転させて大好きな彼に嫌味を言いつづけて、そしたら私のことなんか嫌いになって、別れてくれるかもしれないなーとかそんなこと考える。私の存在は、彼にとって害悪でしかないから、本当は付き合わない方が良かったんじゃないかと毎日考える。iPhoneを握りしめて、言葉の限りを尽くして彼を責めつづけて、止めたいけど他にすることがないから止められなくて、でもやっぱり彼が可哀想で、本当は仕事が忙しい彼に優しい言葉をかけたいのに、それだけのことがどうしてもできない自分が、何を期待して生きてんだか意味不明だ。約束なんかしなきゃよかった。馬鹿だった。そういうの、今一番できないことなのにな。

傷つけたくないのに、悪口を書き込むフリック入力をする指を止められないのが死ぬほどつらい。約束が果たせなかったところから大きく外れた私の怒りのせいで、iPhoneから手が離せなくなった。それでやっとやっと、ごめん の3文字を打つことができた。でもそんなの、所詮文章に過ぎないから、しかもごめんなんてたったのひらがな3文字すぐ打てるし、私がどれだけ自分の感情を抑えて、その3文字を打つのに時間がかかったか、彼には絶対に伝わらないと思う。これを書きながらも、なぜか涙が止まらない。止まらないよ。自分を麻痺させる方法はもうあとは睡眠薬を飲むくらいしかないよ。明日どうやったら会社に行けるかな。立ち止まらず、最後まで1日を終えられたら、それは、すごく良さそうだな。