ドリアとアップルパイ

石井ゆかりの占いで、魚座の人は2018年3月、たくさんの人に誘われて色んなところに行くでしょうって書いていて、大学に友達なんて1人もいないし会いたい人もいないしそんなわけあるかって思ってたけど、自分が思った以上に3月に向けたこの3ヶ月は懐かしい人にたくさん会った。高校のときに親しかった友達何人かにも会えたし、あと明日25日は黒石でライブがある。多分、青森最後のライブだ。初めて歌う場所だけど、私が小4のときに母が車でヘビロテしていたアマチュアバンドのボーカルの人が経営するラーメン屋さんだし、一緒に出る人も、私が最初に弾き語りライブに出るきっかけになった人だし、なんとなく繋がりを感じている。そして誘ってくれたのは、青森で母とライブに出たときに知り合いになった人。案外私も、弾き語りを始めてから何年か経つし、意外といろんな人と関わってきたなと思う。

そして昨日は卒業式。研究の進捗がイマイチだった私は、完全でちゃんと自分に自信が持てている私じゃないといけない気がしていて、院生になってからキャンプも花見も恥ずかしくて参加しなかった。それでも先生には最後まで面倒を見てもらったので、同期や後輩や先輩はまぁ別にいいんだけど、せめて先生とはちゃんと挨拶をして別れようと思っていた。

午前中は、彼氏に2週間ぶりくらいに会って、一緒に卒業式に出た。その後は彼氏のお母さんと3人でお昼を食べて、急ぎながらコーヒー豆を買って、アップルパイを買った。ずっと行きたかった藤田記念庭園に初めて入れて、しかもそこのアップルパイはとても美味しかった。弘前に6年も住んでたのに、行きたいところも行ききれなかったなぁ。それでも、彼氏の家族とも顔見知りになってきて、何となく嬉しかった。

その後は、卒業する4年生も交えて、先生たちと記念写真を撮った。研究に対して不真面目で、ゼミの態度もひどかった4年生は、まるで夜逃げのように机の上も片付けず帰ってしまっていた。そんなに研究が嫌だったのか…というのが丸わかりだ。そこまで露骨な人も珍しいので、きっと彼も不器用な人なんだと思う。院に進む4年生の1人で、卒業式にも出ず、私服で普段通りに研究している子もいた。学位記を学生証と交換でもらうんだよ、と教えたら、初耳だったのかびっくりした顔をしていた。あの子はちゃんと、学位記もらったかな。卒業式当日になって、今までリア充だと思ってた4年生の中にも、難しいところがある人もいたことに気づいた。そういうところってあんまり知られたくないから、普段はしれっとしているのかもしれないけど、こういう節目になるとどうしても出ちゃうのかもしれない。不器用ながらそれでも毎日研究しに学校に来て、それは私と全く同じだった。みんなそれぞれ、自分が思う形でもいいから、何かを全うする経験がたくさんできるといいなと思った。

それまでも割と親しくしていた助教の先生とは、ちゃんとお話しできた。都会は、表通りから1本外れただけで危険度が全然違うから、それを察知する感覚を早めに身につけるといい、とアドバイスをもらった。教授の先生にも挨拶をしようと思ったけれど、祝賀会に行ってしまっていたので、メールをした。本当は直接挨拶したかったけど、この間テレビで見た娘から父への手紙みたいに、普段表面的な会話しかしない分、文章の方が冷静で言いたかったことがちゃんと言える気もしたので、メールにして正解だった。何時間がして先生から返事が来て、感動して少し泣いてしまった。私の面倒があまり見れていなかったこと、英語の論文はチェックをしている最中だけど必ず発表すること、今後も私が作った実験装置を使っていくこと、なんか、意外とちゃんと見ていてくれたことに驚いた。研究が本当に嫌で嫌で仕方なくて、それでも修士の学位をもらうために毎日とりあえずやってみるの連続でつらかった。その気持ちが少し報われた。これで、心置きなく次に進める気がする。小学校から高校まで、先生運がいいと思っていたけど、それは大学院まで続いていたみたいだった。

夜は母と、頻繁に行ったそば屋さんでご飯を食べた。そこで、2人のお気に入りだった美容師さんが逮捕されていたことを知った。携帯電話も通じないし、心配していたところだったので、状況が知れてよかったけど、それでも最後にもう1回髪を切ってもらいたかったので、すごく残念だ。もっと早くお店に行ってればなぁ… と後悔。知り合いでそんな状態になった人は初めてなので、当たり前は当たり前じゃないんだということが身にしみた。人間は頑張れるうちに頑張ってみた方がいいし、誰か確実に助けてくれる人が世界に1人いるだけで、全然違うんだろうと思った。罪を犯してしまったら、少なくとも今持っているものは手放さないといけない。今頑張れていて、今休むこともできて、今家で過ごせていることがすごく幸せなことに思える。美容師さんは今うまくいっていないかもしれないけど、またお店を開いてほしいし、また髪を切ってもらいたいと思う。

 

この1日は朝から夜まで色んなことがあって、不思議な1日だった。喜んだり悲しくなったり、ツイートするほどでもない気持ちの揺らぎがたくさんあったので、ここに記録しようと思った。就職先へ出発する前の区切りとして、思い出に残る1日になった。大きなイベントは明日のライブだ。出来るだけ楽しみながら過ごしたいと思う。