引越しまであと1週間。今後の人生において、この部屋に帰ってくることが一生ない毎日が訪れるなんて信じられない。この部屋はそのくらい、私の暮らしに馴染んでいた。寂しい、っていうのも、今はない。ずっとこの街から離れたかったけど、いざ離れるとなると変化が途端に怖くなるのはなぜだろう。

卒業というのもあまりピンとこない。高校までのように校舎に対して特別な思い入れがあるわけでもないし、部室に対しても最近は全く行かなくなったので、哀愁のようなものは感じない。大学で過ごした6年間というよりも、家族との関係を修復するための6年間だったように思う。それは、時間の自由がきく大学生という立場を利用しなければできないことだった。だから、学問で何かを成し遂げた達成感はほぼない。結果的にやりきったんだけど、個人的な手応えはない。

実績を残す、というのではなく、結構真面目に私という人間についてとことん向き合った、本当に特殊な6年間だった。部屋を引き払う瞬間ドバッと感情が溢れそうだから、覚悟しておこう。